ひょんなことから、フランス革命の時代に活躍した占い師・マドモアゼル・ルノルマンの※リーディング方法(※リーディングとは読むという意味だが、カードを解読して占いという意味をもつ)を教えることになった。

 

スピ系のリーディング歴は30年にもなるけれど、私は占いの畑の出ではないので、逡巡した。

 

しかし、なぜかこのオファーを貰った時から、パリに行く機会が増え、結果的にマドモアゼル・ルノルマンにとり憑かれたかのように、ルノルマンを知ることとなった。

 

結論から言えば、ルノルマンは18世紀の欧州から、始まった世界の経済支配の雛形をつくるための革命の中、彼女特有のやり方で市井の人々から、皇帝や皇妃にまで影響を与えた結果、出版社との間に軋轢が生まれ、困難を強いられていた結果、

 

そうだ…自分が出版社となればよい

 

と、ばかりに出版社を買い上げてしまったという話である。

 

そんなマドモアゼル ルノルマンが出版社兼、自宅サロンとして活動していたのが、パリの中でも出版社が林立するサン・ジェルマン地区だった。

 

サン・ジェルマンは日本で言えば神保町にあたるのかもしれない。

しかし、林立する本屋、古本屋、出版関連の業務を行う場所のお洒落さは、パリならではのもの。決して真似できないものがある。

 

マドモアゼル・ルノルマンとは何者かを知りたい人は

是非、この本を読んでほしい。

 

そして、女性の自立が、まだまだ途上にある私たちの国において

この人の生き方に学ぶことはたくさんあるということも知ってほしい。

 

果たして、父のための新聞や、友人の父の自叙伝などを作った私たちは、

マドモアゼル ルノルマンに敬意を表して、彼女の自伝を書くに至ったのだと思う。

 

そして

もちろん、マドモアゼル ルノルマンの所業にあやかり、

彼女が活躍したパリのサン・ジェルマン地区の名前を使わせてもらうことにしようと思った。

 

すでに他界した私たちの父は、日活という映画会社で「パリ祭」というイベントを立ち上げてフランス映画を日本に持ち込むことに成功したという華やかな経歴を持つ。

 

だから

 

私が物心ついた部屋にはエッフェル塔の絵が飾ってあった。

 

そんな父へのオマージュもかねて

サン・ジェルマン出版という名前にした。

 

本は売れなくちゃなあ

 

と、苦虫をつぶしたような顔で出版するごとに私に文句を言った父を

今、見返す時が来た。

 

売れない作家のための出版社があったって

いいのよ、お父さん。